インド人エンジニアが入社して教育係として学んだこと
うちの部門に二人のインド人エンジニアがやってきた。サンプル数が少ないので必ずしも一般化はできないが、今後インド人を採用する会社はたくさんあると思うので参考までに、インド人の教育係を一ヶ月間やってみて感じたこと、学んだことをここにまとめておきたい。
インド人の匂い
最初に会ったときに気になるのは、インド人はインド人の匂いがするということだ。これはもう慣れるしかない。というか、インド人も(気を使って?)香水をつけて来たりするし、自然に慣れた。
インド人の名前
インド人の名前の付け方は、地域によって風習が違う。ある地域では、父親の名前を自分の名前の一部にする。この場合、名前がかなり長くなる可能性があり、日本の各種システムでの姓名入力が文字数制限に引っかかり厄介である。そういう場合は、父親の名前の部分を抜いて対応した。
インドの姓名は日本人にとってどちらが姓でどちらが名なのか分からないし、下の名前の方が短くて発音しやすいので、とりあえず下の名前をさん付けで呼ぶことにした。彼らには、日本人の名前を苗字のさん付けで呼んでもらうことにしている。これで、日本人側もインド人側も基本的に違和感なく呼び合えていると思う。
インド人はよく喋る
巷でもよく言われていることだが、インド人はよく喋る。しかし、うちの会社の日本人にもものすごくおしゃべりな人がいて、その人にはさすがのインド人も閉口していた。
独り言も、日本人と比べて多いし、声も大きい。他人にどう思われるかは日本人と比べるとあまり気にしてないようだ。
インド人の食
うちに来たインド人に関しては、食のタブーという視点で見ると全く逆の二人であった。
一人は、厳格なベジタリアンの家で育ち、肉を食べないのはもちろんのこと、魚も食べない、スープにそれらが材料として入っていても食べない、卵も食べないという徹底ぶりである。日本の加工食品を食べるときには、原材料をきちんと見て、食べないことにしているものが入っていないことを確認してから食べる。加工食品は材料が一応記載されているからまだやりやすいのだが、外食に行くと大変でお店が相当限定される。インド料理屋などベジタリアン対応してくれる店でも、頼めるメニューが相当限定される。ちなみにCoCo壱番屋はベジタリアン対応をしてくれる。
もう一人は、対照的に何でも食べるし、日本で食べられるものを色々食べてみたいと言っている。出汁が気に入ったようで、味噌汁とかうどん、ラーメン、そばあたりは美味しいとのこと。魚も好きで、刺身や、寿司も興味津々で貪欲に食べる。和食も色々といけそうだ。ただし、食事が甘いのは口に合わないらしく、味噌煮など甘みのあるメニューは首を傾げていた。
辛さの感覚は日本人とは全然違っている。四川料理の店に連れていって見たら、日本人なら辛い辛いと言って舌を休めたくなるような辛さでも「これは辛くて美味しいですけど、辛さが足りない」と言われる。
日本人にとってカレーとは辛いものと思われているが、インドではそうではない。食事の時に、パン的なものを食べやすいように汁物も出すが、それがカレーであり必ずしも辛いものを出すとは限らないそうだ。日本でいう味噌汁的な位置付けなんだと思った。
日本人にはインドのお菓子というと今ひとつピンとこないと思われるが、インドではスイーツは山のように種類があり、実際よく食べるとのこと。オフィスでもクッキーやチョコレート、アイスなどを毎日のように食べている。アイスには卵が入っていたので本来はベジタリアンの彼は食べないはずだが、食べてしまっていたので、何も言わないことにした。あんこ入りの温泉まんじゅうを二人にすすめてみると、一人はうげっという表情をして気に入らなかった様子だったが、もう一人は"Tasty!"といって気に入った様子だった。
インド人の英語
インド英語は、独特の発音がある。アメリカ英語は十分に聞き取れている私は一ヶ月ぐらいで問題なく聞き取れるようになるのではないかと思っていたが、そんなに簡単なことではなかった。一ヶ月以上たった今でも未だに苦戦している。
インド英語の発音の特徴は、ネイティブと比べると一つ一つの音に抑揚がないこと、文の中で単語の強弱がないこと、リズムによる強弱がないことだと思った。
また、Rの発音はネイティブの発音と完全に異なっていて、日本人のラリルレロのように聞こえる。例えば、"server"は「サルバル」、"When are we ~"は「ウェナルウィ 〜」と聞こえる。これはネイティブの発音に慣れ過ぎていると、予想している音の拍数ともずれてしまうので、非常に厄介だ。このRの発音が原因でちょっと早口に聞こえるが、実際はネイティブと同じぐらいのスピードで喋っていると思う。
あと、THの発音は、カタカナ英語ではサシスセソで当てはめているが、インド英語ではタチツテトになる。例えば、"three"はトゥリー、"third"はタードゥ、"path"はパトゥといった具合になる。
このYouTube動画を見ると、インド英語の特徴が実際に分かると思う。
ちなみに、インド人は英語ネイティブと思っている人もいるかもしれないが、実際には小学校から勉強して身につける。
インド人同士の会話
基本的にはインド人同士はヒンディ語で会話をする。
ヒンディ語での会話を聞いていると、やたらと「アチャー」と言っているのが気になった。意味を聞いてみると英語の"Good"に当たる単語だそうで、日本人が相槌で「いいですね」「OK」というような場面で使われている。日本人は、何かまずいことが起きたときに「あちゃー」と言うので、逆の意味になるところが面白い。
インド人は「なぜ」をよく知りたがる
特に理由なんてないようなことでも「なぜ」「どうして」とよく聞いて来る。「〜しないこと」の理由を聞かれるのが非常に困る。例えば、「結婚してますか」と聞かれたので「してないです」と答えると、「なぜ?」と来る。「日曜日何しましたか」と聞かれたので「特に何もしてないです」と答えると、「どうして?」と来る。「新しいシャツですね?」「はい」「どうして?」。正直言って「ほっといてくれよ」という気分だが、文化の違いから純粋に疑問を持っただけで悪気はないんだと思うので、この手の質問は適当に答えて受け流すようにしている。
インド人との話のネタになる映画
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その他
- インド人の大多数は宗教を信じるのが普通だそうで、独特な儀式を売りにした寺を作るとよい金儲けになるらしい。お金があればそういう寺を建てたいなんて言っている
- カーストを尋ねるのはタブーではない
- インド人の平均身長は意外と低く、男性で166cmぐらい
- インドのスポーツといえばクリケットが思い浮かぶが、サッカーやバドミントンなんかも人気だそうだ
終わりに
インドは親日的な国なので、これからももっとお互いに理解を深められると良いなと思う。以前読んだ現代インドをテーマにしたこちらの本を読み直し始めた。世界的にも権威のあるイギリスの文学賞The Man Booker Prizeを2008年に受賞した作品。
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