英語を辞書なしですらすら読めるリーディングスキルは、こう勉強して身に付けた

はじめに

英語リーディングに関して、英語が得意でスラスラ読めている人が「日本語に訳さずに読む」とか「知らない単語は読み飛ばせばよい」とか「分からない単語は文脈から意味を推測する」とか言ってるのを聞きますが、「そんなんどうやってやんねん」と思っている人も多いかと思います。私も昔は単語の意味が気になっていちいち辞書で引いていたのですが、TOEIC900点を取るに至った過程で英語を早く読む練習をして、辞書を引かずに英文を読めるようになりました。その過程を思い出しつつ勉強のポイントをまとめましたので、皆様の参考にしていただければ幸いです。

注)日本語でもちゃんと覚えたい語句や難しい語句は辞書を引くように、実際には辞書を引く回数がゼロになるってことはないです

英語すらすらリーディングの勉強法

目次

  • 文の構造を把握しながら読む
  • 分からない修飾語句は無視しちゃう
  • 分からない語句を他の語句に置き換える
    • 動詞を型に基づいて置き換える
    • 動詞の型や共起語の制約に基づいて、名詞句を置き換える
  • 単語を辞書引きした時は、型や共起語に重点を置く
  • 単語を辞書引きした時は、接頭・接尾辞や語源を押さえておく
  • 分からない語句を他の語句に置き換える
  • 英単語を訳語で覚えるのをやめて、英文を和訳するのもやめる
  • 簡単な本、自分が面白いと思う本で実践練習する
  • 辞書を引くタイミングに気をつける
  • 辞書は電子辞書を使おう
  • 洋書は、Kindleで読むのがオススメ
  • オススメのKindle洋書

文の構造を把握しながら読む

英語は、構造・語順と意味が表裏一体になっている度合いが日本語よりも高いです。「ここからここまでが主語/動詞句/前置詞句だ」「ここがここを修飾している」「こことここが並列だ」「倒置されている」「何か省略されてる」など、前から順に読みながら構造が分かるように文の要素を分解・分析するようにしましょう。

例えば、Eleven minutesという小説の出だしに次のようなパラグラフがありますが、これを読んでみましょう。

Once upon a time, there was a prostitute called Maria.
Like all prostitute, she was born both innocent and a virgin, and, as an adolescent, she dreamed of getting married (in a wedding dress), having two children (who would grow up to be famous) and living in a lovely house (with a sea view). Her father was a travelling salesman, her mother a seamstress, and her hometown, in the interior of Brazil, had only one cinema, one nightclub and one bank, which was why Maria was always hoping that one day, without warning, her Prince Charming would arrive, sweep her off her feet and take her away with him so that they could conquer the world together.

ところどころ分からない単語があるかもしれませんが、この3つ目の文が大まかに次の図のような構造であることが分かったでしょうか
f:id:knj4484:20150430073606j:plain
矢印:修飾する→されるの関係
黒 波線:主語 述語 目的語・補語
箇条書き風の並び:並列関係
パイプ接続:内容代入
※文法に詳しい人はこの図に異論があると思いますが、あくまで概念的な説明のためなのでご容赦ください

前から順に読んで(ほぼ)後戻りせずにこれができるようにならないと、難しい語彙や細かい文法をどれだけたくさん知っていてもすらすらとリーディングできるようにはなりません。慣れると考えなくても構造が頭に入ってくるようになるので、平易な文章で反復練習しましょう。

英文構造把握の方法はじっくり勉強する必要がありますが、以下の二つの参考書をお勧めします。

まずは、お手軽に勉強したい人には断然これがおすすめです。

二つ目は、リーディングについての理論を分かり易く解説してくれている不朽の名著。量は多めですが、解説がすごく充実しています。勉強が嫌いでない人はこちらがおすすめです。個人的にはTOEIC900取れたのはこれのおかげだと言っても過言ではないです。(Part1、Part2があります)

分からない修飾語句は無視しちゃう

修飾語句は、その名の通り飾りなので、なくしてしまっても文は成立します。例えば、PayPal創業者の著書であるZero to Oneから抜粋した次の文を読んでみましょう。

In a world of gigantic administrative bureaucracies both public and private, searching for a new path might seem like hoping for a miracle.

構造を図にするとだいたい次のようになります。
f:id:knj4484:20150430075353j:plain

administrativeが知らない単語だとしても、構造が分かっていれば、administrativeを消して次のように読めば問題ないでしょう。
f:id:knj4484:20150430075602j:plain

さらに、bureaucraciesも知らなかったとしても、次のように修飾句を全体的に無視して読めば、前後の文意はつながります。
f:id:knj4484:20150430075720j:plain
このように、構造がきちんと分かっていれば、安心して分からない修飾語を無視して読み進めてしまえますので、どんどん無視しましょう(笑)

分からない語句を他の語句に置き換える

修飾語句を削っていくと最後には、いわゆる5文型の部分(主語S、述語V、目的語O、補語C)が残ります。このどれかを無視しようとすると文が成立しなくなるので、他の語句での置き換えを試みます。置き換えても文意がピンと来なかったら、ひとまずその文は捨てちゃいます。

動詞を型に基づいて置き換える

動詞は、それぞれ型を持っています。いわゆる5文型の他にもいろいろな型があって、型によって意味が似ているものが多いので、代表的なもので置き換えてみましょう。

置き換えがうまくはまりやすい例をいつくか挙げておきます。

  • S V O1 O2 (第4文型)
    • Vをgiveだと思って読めばだいたいOK
  • S V that 〜
    • Vの部分はthinkやsayに置き換える
  • S V X into Y
    • Vをchangeにして「XをYに変化させる」という意味だと思って読んでみる
  • S V X from Ving
    • 「XにVさせない」という意味のkeep等だと思って読む

動詞の型や共起語の制約に基づいて、名詞句を置き換える

  • S V O1 O2 (第4文型)
    • O1にくるのは大体が人なので、その語の具体的な意味はさておき、「誰か」と思って読む
  • S is held at/in
    • Sに来るのはイベントなので、具体的な意味はさておき、「何らかのイベント」と思って読む

等々ありますし、動詞と前置詞の組み合わせで名詞の意味が大体分かるのも色々あります。

裏を返すと、まずは、こういう型や制約を自分の中からポンポン引き出せるようにしておくことが重要ということですね。マニアックな語句を細かく覚えるのは後回しにしましょう。

単語を辞書引きした時は、型や共起語に重点を置く

英単語を辞書で引いたら、訳語はさっと眺めるだけにして、型や共起語を熟読しましょう。例文もできれば全部ばーっと読んで、型や共起語を実例を通して身につけておきましょう。型や共起語をインプットすると、訳語ではない本来の意味(イメージ、概念)が自然と覚えられます。訳語は、訳す必要があるときに意味から考えればいいだけの話なので、頑張って覚える必要はなくなります。

注)専門用語などの日英で意味も品詞も1対1対応している語句は、訳語で覚えたほうが早いかもしれません

単語を辞書引きした時は、接頭・接尾辞や語源を押さえておく

その語自体から意味を推測する方法として、語を分解してみると接頭辞や接尾辞などヒントが出てくる場合もわりとあります。
そのヒントを最大限に活かせるように、辞書で接頭語や接尾語、語源などの解説が載っている語句を見たら熟読しておきましょう。

英単語を訳語で覚えるのをやめて、英文を和訳するのもやめる

和訳しながら読むとスピードが格段に落ちます。訳せない単語の和訳が気になってしまい、そこで思考が止まってしまいます。
英単語を訳語で覚えると、英文を読むときに和訳が頭をよぎってしまうので、まずは英単語を訳語で覚えるのをやめるところから始めるとよいと思います。
英単語を型や共起語を通して覚えるようにして、文の構造が分かるようになると、和訳せずに英文の意味を直接理解できる段階になりますので、読んでるときに文構造と語句のイメージに集中して、日本語を頭の中から追い出しましょう。

簡単な本、自分が面白いと思う本で実践練習する

ここで紹介した方法は、読んでる文章の中で知らない単語が多すぎると、実践することは難しくなります。
いずれにしても語彙強化は必要なので、簡単な本で読む練習をしながら語彙を増やしていきましょう。

自分のレベルや知識にあった本の選び方としては、5〜10ページぐらいを分からないなりに読んでみて、分からない単語・読めない文が多くてストーリーが頭の中に入ってこない場合は、まだその本を読むべきタイミングではないということで、すっぱり読むのをやめて別の本を探しましょう。さらに読み進めた場合も、読むのがどうしてもつらくなってきたら、すっぱりやめて別の本に移りましょう。

よく洋書の難易度でTOEICスコアこれぐらいみたいな表示がありますが、いきなり自分の点数の難易度の本を選ぶと挫折する可能性が高いので、まずは難易度を下げて選ぶようにするほうがいいです。読み切った達成感もモチベーション維持に必要なので、長さは200ページぐらいの短いものから始める方がいいです。

辞書を引くタイミングに気をつける

基本的には辞書を引かずに速く読む練習をしましょう。分からない単語が二回、三回と繰り返し出てきた場合に辞書を引きましょう。繰り返し出てくる語は一般的な頻出・重要語句である可能性が高いので、この場合はその語をじっくり勉強しましょう(辞書には、頻出・重要語句であることが分かるようになっているものがあります)。頻出・重要語句ではなくその文章のキーワードが繰り返し出てきている場合は、ぱっと意味だけ把握してリーディングに戻りましょう。

辞書は電子辞書を使おう

辞書を使うときの注意点を解説しましたが、ストレスなく面倒がらずに何度も辞書引きできる環境を整えましょう。
さすがに最近は紙の辞書を使う人はいないと思いますが、ネットの辞書も反応が遅かったり、スマホの辞書も内容が充実していなかったり入力が面倒だったりするので、英語系辞書が一括セットの電子辞書を買うのが一番いいと思います。2〜3万円の投資ですが、ご利益を考えると、ここでケチってる場合じゃないです。

辞書は英英しか使うなという人もいますが、それではさすがに効率が悪くて疲れてしまうので、英和でええわ。例文が足りない時に英英も見るぐらいがちょうどいいです。

洋書は、Kindleで読むのがオススメ

紙の洋書は、かさばるので、持ち運んで読むにはつらいです。
Kindleは、小さくて軽くて、電池も一週間ぐらい持ちますし、いつでも洋書を読む環境作りに最適です。しかも、書籍をKindle版で買うと紙で買うよりも安いです!

オススメのKindle洋書

個人の好みですが、学習者向けに易しく書き直した本は、読んでいてちょっと白けるので、普通の洋書を読むのが好きです。大人も楽しめる内容で子供向けの本も探せば結構あります!

Matilda

簡単な文法と簡単な語彙で書かれていてスラスラ読めます。内容も面白く、長さも適度なので、初めて読む洋書としては、かなりお勧めです。

Matilda

Matilda

  • 作者:Dahl, Roald
  • 発売日: 2007/08/16
  • メディア: ペーパーバック

The Curious Incident of the Dog in the Night-time

これはリーディングの練習抜きにして、非常に面白い小説です。英語は少し難しい気がしますが、面白いので最後まで読み通せるのではないかと思います。

The Curious Incident of the Dog in the Night-time

The Curious Incident of the Dog in the Night-time

  • 作者:Haddon, Mark
  • 発売日: 2004/04/01
  • メディア: ペーパーバック

A to Z Mysteries

ネイティブの子供向けの本ですが、大人の英語学習者が読むのにもちょうどいいレベルです。シリーズ名の通りThe Absent AuthorからThe Zombie Zoneまであり、一話読み切りで長さもちょうどいいです。

A to Z Mysteries: The Deadly Dungeon (English Edition)

A to Z Mysteries: The Deadly Dungeon (English Edition)

  • 作者:Roy, Ron
  • 発売日: 2009/09/09
  • メディア: Kindle版

Sapiens: A Brief History of Humankind

「サピエンス全史」の原著。最初は固有名詞や動植物名など見慣れない単語に戸惑うかもしれないですが、文体はいたってシンプル。知的好奇心が非常に掻き立てられる内容でいっっきに読み通してしまいました。本格的な本を辞書なしでスラスラ読むための練習にうってつけだと思います。

Sapiens: A Brief History of Humankind

Sapiens: A Brief History of Humankind

Zero to One

本人の経験からくる説得力がある内容は勿論のこと、シンプルな英語で書かれていて読みやすさもほどほどなので、英語の勉強も兼ねて原著で読むのをお勧めします


おまけ

今回、英語構文の図を書くときに、nu boardというのを使いました。ペンで書いて消せるスケッチブック形式のホワイトボードなんですが、議論の途中などでちょっとした図を書くときによく利用しています。白ページに透明シートを重ねられるようになっていて、図の追加や重ね合わせも出来てとても便利です。

nu board (ヌーボード) A5判 SHOT NOTEタイプ NSIPM3BK08

nu board (ヌーボード) A5判 SHOT NOTEタイプ NSIPM3BK08

  • 発売日: 2015/04/01
  • メディア: オフィス用品

おわりに

英語って、英語力が活かされる場面としては英語を読むことが圧倒的に多いですよね。何気なく英語を読むことできる、ただそれだけで、得られる情報の量や鮮度が全然違って仕事にも役立ちますし、世界中で起きていることを日本のマスコミ経由でなく海外のニュースサイトで直接知ったり、海外で流行っている本を劣化なしでいち早く読むことができるようになって、人生が豊かになる気がします。近頃もてはやされているTOEICハイスコアも結局はリーディング力の問題ですしね。



では、みなさんの英語力、TOEICスコアもアップすることを願っています。頑張って下さい!